株式会社ULTIMATE PLANNINGは、「アルティメット」の普及を目的に活動しています。
アルティメットは、フリスビーを使った7人制のチームスポーツで、パスを繋いで相手のエンドゾーンでキャッチすることで得点します。審判がいないため、選手同士がフェアプレーを重んじる「スピリット・オブ・ザ・ゲーム」が大切にされています。
ここでは、このスポーツをやっている方、気になっている方、まだ知らない方、全ての方がアルティメットを理解するための一歩になればいいなと考えています。アルティメットに関する基礎的な解説・情報に加え、実際にプレーしている学生・選手からの声も掲載します。また、大会情報など最新ニュースも随時掲載いたします。
今回は、アルティメットにおけるプレー中の動作で使う「ピボット」「ストールカウント」「ターンオーバー」「トラベル」という4つの重要な専門用語について詳しく解説します。
1.ピボット:スローの基盤となる動作
「ピボット」は、アルティメットにおいてディスクを持った選手が行う基本的な動作です。ピボットとは、一方の足を固定し、他方の足を自由に動かして身体の向きを変える動作のことを指します。この動作は、スローの方向や角度を調整し、パスの選択肢を広げるために非常に重要です。
アルティメットでは、ディスクを持った選手が移動できる範囲はピボットによって限定されます。ピボットを使って、ディスクを持った選手は相手ディフェンダーのプレッシャーをかわし、パスコースを作り出すことが求められます。このため、ピボットを効果的に使うことで、ディフェンダーの動きを誘導し、有利な位置からパスを放つことが可能になります。
ピボット足、すなわち固定された足は、動かしてしまうと「トラベル」と呼ばれるルール違反がコールされるため、正確な足さばきが必要です。特に、ディフェンスが密接にマークしている状況では、ピボットを正確に行うことで、ディスクを失うリスクを減らし、攻撃を継続することができます。したがって、ピボットは攻撃の基盤となる動作であり、選手たちの技術力が問われる場面です。
2.ストールカウント:時間制限によるプレッシャー
「ストールカウント」は、ディスクを持つ選手に課される時間制限です。ストールカウントは、ディフェンスがディスクを持つ選手に対して数え始め、10秒以内にディスクを投げなければならないというルールです。この制限により、攻撃側は迅速な意思決定と素早い動作が求められます。
ディスクを持つ選手がパスを出すまでの時間が10秒を超えると、相手チームにディスクが渡る「ターンオーバー」が発生します。このルールは、試合のテンポを維持し、攻撃にリズムと緊張感をもたらすために重要です。ストールカウントは、特にプレッシャーの強い場面で、選手の冷静さと判断力を試す要素となります。
ディフェンスは、ディスクを持つ選手の近くで「1、2、3…」と声に出してカウントを行います。このカウントは試合の中で明確に聞こえるため、攻撃側の選手には常に時間的なプレッシャーがかかります。そのため、ディスクを持つ選手だけでなく、周囲の選手たちも迅速にパスコースを作り、スローの選択肢を提供する必要があります。
また、ストールカウントを効果的に活用するディフェンダーは、相手のミスを誘発することでチームに有利な状況を作り出すことができます。ディフェンスが上手にプレッシャーをかけることで、攻撃側の判断を狂わせ、ターンオーバーを引き起こすことも少なくありません。
3.ターンオーバー:攻守が一瞬で逆転する瞬間
「ターンオーバー」は、アルティメットにおいて試合の流れを大きく変える瞬間の一つです。ターンオーバーとは、攻撃側がディスクを失い、相手チームにディスクが渡ることを指します。この瞬間、攻撃と防御が一瞬で逆転し、両チームに迅速な対応が求められます。
ターンオーバーが発生する理由はさまざまです。パスミス、キャッチミス、ディフェンダーによるブロック、またはディスクがフィールド外に出ることなどが主な原因です。さらに、前述のストールカウントが10に達することもターンオーバーの一因です。
ターンオーバーの瞬間は、試合の流れを大きく変える可能性があります。攻撃側のミスによって相手にディスクが渡ると、今度は相手チームが攻撃に転じ、得点チャンスを狙うことになります。このため、攻撃側は常に正確なプレーを心がけ、ターンオーバーを防ぐことが重要です。
一方、ディフェンス側は、ターンオーバーをチャンスとして積極的に攻撃に移行する必要があります。特に、ターンオーバー直後は相手チームの体制が整っていないことが多いため、迅速な攻撃で相手を不意打ちし、得点を狙うことができます。
4.トラベル:プレーヤーの不正移動を防ぐルール
「トラベル」は、ディスクを持っているプレーヤーが不正に移動した場合にコールされるルール違反です。ピボット足を動かしてしまったり、ディスクを持ちながら歩いたりした場合、このルールが適用されます。トラベルがコールされると、ディスクはその場で止まり、再びプレーが再開されます。
アルティメットでは、ディスクを持った状態での移動が厳しく制限されています。これは、競技のフェアネスを保ち、ディフェンダーに対して公平なチャンスを与えるためです。トラベルのコールは、プレーヤーがディスクを保持している間に移動しようとした際に発生し、プレーの一時停止と再開をもたらします。
トラベルは、スローを急いで出そうとする場面で見られます。例えば、ディフェンスが強いプレッシャーをかけている場合や、ストールカウントが進んでいる場合に、プレーヤーが無意識にピボット足を動かしてしまうことがあります。このような状況では、冷静さを保ちながら、ピボット足をしっかり固定し、ルールを遵守することが求められます。
まとめ
「ピボット」「ストールカウント」「ターンオーバー」「トラベル」の4つの要素は、試合中の異なる側面でプレーに影響を与えますが、それぞれが密接に関連しています。ピボットは、攻撃の基盤となる動作であり、ディフェンダーのプレッシャーをかわしてパスコースを作り出すために重要です。しかし、ピボットが不正確であったり、焦りからトラベルが発生すると、ターンオーバーのリスクが高まります。
これらの要素を理解し、適切に対処することで、選手たちはより効果的なプレーを展開し、試合を有利に進めることができます。アルティメットは、単なる体力や技術だけでなく、戦術やルール理解が求められるスポーツです。これらの要素をバランスよく活用することで、チームとしての力を最大限に引き出すことが可能となります。
次回は「プレー中の動作で使う専門用語 後編」をお届けします。